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Raed in the Japanese Language; originally Raed in the Middle
Monday, August 09, 2004
 
引き続き,Khalid Jarrarさん(Raedさんの弟,バグダード在住)のウェブログ,tell me a secretより,アラウィ首相の記者会見についての記述を日本語で紹介します。(ご本人の許諾済み。)

tell me a secret
Sunday, August 08, 2004

昨日のアラウィの記者会見をみなさんが見ることができればいいのにと心から思います。みなさんがアラビア語ができれば,この男がいかに薄汚い傲慢なファシストであるかがわかるのに,と本気で思います。この男はかつてバアス党員であったばかりでなく(そうなんですよ,信じられないかもしれないけどアラウィはバアス党員だったんです),この男はサダム時代に拷問のための器具を最初に輸入したという話ばかりでなく,この男はかつてCIAの暗殺ユニットで仕事をしていたという話ばかりではなく,(確かに噂ではあるのですが,でもアラビア語では,火のないところに煙は立たないと言います)この男はアメリカの戦車に乗りこんでイラクに入ったという事実ばかりでなく,この男は占領者によって任命されたという事実ばかりでなく,この人物がいかなる人物なのか,昨日の記者会見を見ればわかったはずなんです。

ちょっとだけ,どんなものだったのか,ここに書いておきます。

記者:首相,現在行なわれている作戦と,イラクの一般市民を殺していること,アル=ダリ氏の逮捕(アル=ダリとは,スンナ派のコミュニティ・リーダーの息子です)【訳注:PEACE ONの相澤さんのウェブログを参照】,そしてアル=マハディ軍の抵抗のために失敗したアル=サドル逮捕の試み,こういったことは,あなたの政府の承認のもとで起こっているのでしょうか?

アラウィ:イラクの一般市民? どのイラク市民のことですか? 私たちがイラク政府です。私たちがイラクの市民です。あなたが言っているのは反乱者じゃないですか。あなたの質問はイノセントな質問ではない,悪い意図がある質問です。それと,今あなたがおっしゃった人物は誰でしたっけ?

記者:アル=ダリ氏です。

アラウィはそんな人は知らないという振りをするが,アル=ダリ氏はスンナ派コミュニティの中では最も重要な人物のひとりだ。彼はレバノンの放送会社のLBCとのインタビューにも出ていて,そこでスンナ派のコミュニティは,アラウィの政府が作ろうとしている,国民会議とやらには参加しないということを説明した。その数時間語にアル=ダリ氏は逮捕された。

記者は繰り返して:アル=ダリ氏ですよ,スンナ派コミュニティのリーダーの息子の。

アラウィは困ったなという表情をして,早口で答える:彼は釈放されました。(さてこれで,少なくともアラウィはアル=ダリ氏を知ってるらしい。よくできました。)次の質問は。

#訳注:アル=ダリ氏の釈放についてはPEACE ONの相澤さんのウェブログを参照。

イラク人記者:プレジデント(首相のことを「プレジデント」と呼ぶことはよくあることだ),アル=ナジャフの市長が,この2日間で400人が殺されたと言っていますが,本当ですか?

アラウィは記者を睨みつける:記者会見が始まってから,きみはどこにいたのかね? 私の話を聞いていなかったのか? 集中してなかったのか? 私が既に述べたことを繰り返してみなさい,さっきそれについて私が言ったことを聞いていたのか? 私が何て言ったか,あなた言ってみなさい。

記者:内務大臣はその件についての情報を持っていないとおっしゃいました。そして内務大臣が情報を得たときに内務大臣があなたに知らせると。

アラウィ:ということはわかっているんじゃないか。

記者は震えながら:しかしプレジデント,市長は……

アラウィ:情報が入ったら伝える。次の質問。

というわけで記者会見は続き,アラウィは記者たちに対して極めて無礼だった。アラウィはサダムを思い出させる。彼がイラク市民であり,他の全員はやくざ者である,と。

僕はアラウィを見ててヌーリ・イル・サイード(Noori il Saeed:表記が違うかもしれません)を思い出した。英国の占領で任命されたイラクの首相のことを。学校の歴史の教科書で習ったことを。あのとき僕たちは,占領とは歴史の書物で読むものだ,遠い昔に起きたことだ,国際法と国際社会がある現在では起きないことだ,と思っていた。いずれにせよ,話を元に戻すと,僕はヌーリ・イル・サイードを思い出したのだ。アラウィと同じようにふるまっていた人物,アラウィが米国の工作員と呼ばれているのと同様に英国の工作員と呼ばれていた人物を。この人がどうなったか? 群集が彼を捕えるとすぐに何日にもわたって市内を引き回し,昔も今もその名を口にされるたびにあんな奴は地獄へ落ちればいいと言われている。アラウィは教訓を学んでいない。おそらくアラウィは,過去の世紀においては自分のような人物にはそういうことが起こったものだけれども,今では起こらないと考えているのだろう。さて,どうなることやら……。
me*

posted by khalid jarrar # 2:34 AM
*translated by: nofrills, 8 August, 2004

 
Raedさんが論文執筆などでウェブログをお休みしていので,Raedさんの弟でバグダード在住のKhalid Jarrarさんのウェブログ,tell me a secretから,8月7日の記事を日本語にしてご紹介します。(ご本人の許諾済み。)

tell me a secret
Saturday, August 07, 2004

イラクは血を流している。僕のハートも血を流している。

今イラクで起きていることを説明するには2つのやり方がある。
1つ目は,アラウィ=アメリカ流。「我々はこの国を掃除しているのだ,やくざ者を取り除いているのだ」と。
僕はこれはアメリカの人にはずっと信じやすいんじゃないかと思う。というのは,これなら人々の良心は,この2日間で500人のイラク人が殺され,数千人が負傷したっていうことを気にかけることはないから。

もう1つのやり方は,こんな感じ。
「イラクで今起きていることは,サダムの時代に起きたこととそっくりだ。」

行動:スンナ派は占領は望んでいない。
アラウィ=アメリカ流の反応:やつらはやくざ者だ,ファルージャを殲滅せよ……「やつらを取り除け」「我々の国を掃除しよう」。

行動:何千何万というシーア派は,サドル師支持者たちは,そしてそれ以外のシーア派も,占領は望んでいない。
アラウィ=アメリカ流の反応:やくざ,やくざ,やくざものどもめが,全部殺せ。子どもを殺せ,そうすれば将来問題を起こすこともない。女を殺せ,そうすればやくざ者が生まれることもない。

同じポリシーで,自分たちの側にいない者は誰であれ犯罪者でありやくざ者であり野蛮人であり,そんな者は殺されなければならず,そうでなければ「昨日アメリカの軍警察のひとりがアブ・グレイブ刑務所と述べた」地獄へと送られなければならない。

サダムがやってたこととまるっきり同じだ。新しい政府も昔の政府もほんとにまったく同じで,自分たちの利益のことしか頭にない。邪魔になる人間は誰であれ殺す。

ただひとつ,重要な違いといえば,アラウィ=アメリカの政府はエレガントなスーツを着て,英語が上手だってことだけだ。

僕たちはカオスの中に暮らしている。そこでは,何日かの間に何人のイラク人が連合軍〔原文ママ〕によって殺されていくか,誰にもわからない。でも僕がはっきりとわかってることがひとつある。それは,彼らはできる限りたくさん殺すということ。そしていつものように,世界はそれをテレビで見て,何人かの記者はそれをドキュメンタリーに仕立ててメディア・ネットワークに売って金を儲けてはいいっちょあがり,そして人殺しを終えた後で彼らはこう言うんだ,「反乱は押さえこんだ,あなたたちは再び『解放された』のだ,正義万歳!」と。

この戦争を支持した人ひとりひとりが,血の一滴一滴に対し,責任がある。殺された,あるいはこの先に殺される息子と母親ひとりひとり,妻と夫ひとりひとりに対し,責任がある。この戦争を支持した人,あるいはそれに関わっていた人全員が,血と涙に対し責任がある。歴史の前で,そして神の御前で責任を負うことになる。

どうしてそんなこと気にするの? あの人たちはならず者で反乱軍でしょ――って言いたいんじゃないですか,そこのあなた。

ホワイトハウスの中にいるエレガントなスーツのひとりが,あるいは(バグダードの)グリーンゾーンの臭いシェルターの中にいるエレガントなスーツのひとりが,彼らはこの国を暴力で支配することはできないのだと気付かない限りは,サダムの轍を踏んではならないのだと気付かない限りは,イラク人を殺すのではなく彼らが何を望んでいるのかに耳を傾けなければならないのだと気付かない限りは,この国は決して二度と立ち上がることはない。

でも神さまは見ている。最も偉大なる神,あまねく慈悲深き神。神は真実を知っている。そのうちにわかる。行動は結果によって測られると言う通りだ。この先どうなるかしっかり見よう。この占領の結果がどんなことになるか,そしてこの政府,それはやがて倒れるだろう。そのときあなたは僕の書いてたことを思い出すんだ。でもそれまで,僕たちは引き続き何百何万の命を失い続ける。そしてこの戦争を支持し,あるいは関わった人々はみな,歴史の前で,永遠に,神の御前で,失われる命に対して責任がある。
me*

posted by khalid jarrar # 12:51 AM

【日本語化担当者メモ】
Khalidさんはご自身のことを「宗教心が篤い」と言っています。一方お兄さんのRaedさんはしつこいくらい「僕は世俗主義で左派のムスリム」と書いてます。Jarrar一家のメンバーは宗派もばらばら(スンナ派とシーア派がいるとの説明がRaedさんのウェブログにあります)のようですが,どのくらい宗教的かもそれぞれで異なっているようです。

*translated by: nofrills, 8 August 2004


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